2015年12月21日

ウクレレ



あなた達は今日、どういった目的でここに来ましたか。誰に誘われましたか。家族でしょうか、友人でしょうか、よもや単身で乗り込んで くるような肝の座った人間がいるとは思えませんが(笑) のんべんだらりと何の気なしに、区のホールくんだりまでご苦労さんでございます。商売道具をこうして、舞台に放り投げて、腕組んで喋っているわけですけれ ども。面食らうんじゃないよ、私の根っからのファンだって多少は来てくれてたはずだと期待してるんですけれども。ちょっと挙手していただいていいですか? 私のことを目的に足を運んだ、という方。


いや1人も居ないんですか!!(笑)全杉並区民収容できるサイズのホール でしょう(笑)と、言うわけでですよ。コラコラ、お婆ちゃん!視界ちゃんと収まってますから。眠らないでください!まだ私が舞台に上がってからものの数分 と経ってないんですから。そんな速攻で安眠体勢に入らないでくださいね〜(笑)


とでも言うと思いましたか。本当に 頭にくるんですよ。本当に頭にきているんです。びっくりしましたか。私とてプロです。この商売でおまんまをいただいてきているのです。集まっていただいた 皆様の笑顔がなによりの活力源なのです。しかしだ。しかしですよ。私とてプロフェッショナルだと自負してはおりますが、あなたがたとて、みなさんとて、何 らかのプロフェッショナルとして、生計を立てていらっしゃるのではないのでしょうか?わざわざこういった区のホール、あなた方の血税でこしらえられた建物 にヒゲ面こしらえて座っていらっしゃる意図をプラスとして、まじりっけのない純粋なプラスとして捉えるならば、私は今現在提供できるマックスの芸を提供し たい。バチバチとやり合いたいのだ。私は今、この、伝統と趣ある笑点という舞台をメチャクチャにします。テレビ局の下座に座っている人間から怒られたり、 叱られたり、怒られたりするだろうけれども、とりあえずそれはそれとして、這い上がれるような気がしてるんだ。根拠ゼロでこうして公衆の門前に突っ立って られるね、こんな調子で生きていられる人間も存在するわけですから。オラお前ら。心してみろよ。聴けよ。俺はプロフェッショナルなんだからな。媚びる気は さらさらございません。どうぞ最後までご堪能くださいね。


ぱたん、と舞台の上に寝かされたままだったウクレレを拾 い起こし、まるで炭酸が完全に抜けた500のCCレモンのような佇まい。懸命に稽古を続けていたけれど、それをあからさまにひけらかすような真似をしては ならない。ピエロは自分をピエロとバラしてはならないのだ。これは俺が思いついたフレーズではない。


ブロードウェ イで一回やってみたいな。それかラスベガスあたりで。こういう日本人の年寄り笑わせるような温度のおもしろと、外人笑わせるようなおもしろはほとんど同じ ようなもんだからな。意識がアメリカにある状態で、杉並区でウクレレを引きながら、嫁さんを卑下している。嫁さんに申し訳ないという感情は無論ある。外れ たアロハのボタンを縫い付けてくれた時に、こいつを放してはいけないと思った、太り散らかした体を見て、そのほうがそれっぽいじゃん、っつってくれた。さ すがにここまで甘やかされちゃよ、と買ったジョギング用のスニーカーは1度しか履いていない。




舞台袖から出てきた小遊三「ブツブツブツブツ何言ってるかわかんねえんだよ!!!!!!!!!!死ね!!!!!!!!!!!!」


芸能界とつながっているヤクザ「(懐から銃を取り出して)パンパンパンパンパン!!!!!!!」


おしまい
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posted by しきぬ ふみょへ at 02:13| ラスベガス ☀| Comment(0) | 文章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする