2016年04月24日

それなら、もう一度

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あの日であらかたの思い出にまつわるデータは爆破したつもりでいたのに、何とはなしにカメラロールを辿っていたら出てきた。5月22日(金)1:00過ぎのやりとりらしい。週末で彼女と喋りながら酒が進み、Skypeを切ってから酔いに負けて絡んでしまったと思われる。翌朝にしみじみと喜び、寿ぎが滲み出てきてスクリーンショットした。付き合いだしたのが5月の頭だったのでまだ漁港から水揚げされたばかりの頃。ここから1年もしないうちに跡形もなく腐り果てるとは。


夢にも思わなかった、という表現があるけれども、付き合っていた当時は彼女に振られる夢をしょっちゅう見ていた。嫌われてさようなら、で布団から飛び起き、昨日の夜のラインを遡り、まだ大丈夫だ、良かった、何を悲観的になっているのだろうと安堵に包まれながら二度寝した。性分的に生活がうまいこと運んでいる時には「そんな訳あるか、用心しろ」と匍匐でしか移動できなくなる。もうすぐ1年も経つし、そろそろ安全地帯まで来れただろうと油断しきって立ち上がりダッシュしたその1歩目で地雷、しかも足が離れてから信管が作動するんじゃなくて、踏んだ瞬間即死のタイプだった。死んでから、一緒にその辺を散歩する夢を見るようになったので人間には欠陥が多い。


彼女とはTwitterで知り合いました。今となってはブロック、鍵と二重のセキュリティに阻まれて知る由もないけれど、彼女のアカウント名で検索をかけると、「新生活頑張れ!」「就職してから辛いことも多いだろうけども慣れちゃえばこっちのもんだよ(笑)」といった、野郎どもからの浅はかな叱咤や激励が結果に引っかかる。そこから今の状況を類推してアドバイスを念じている。俺が世界で一番身を案じているとも知らずに馬鹿がちんちんを勃てながらリプライを送っている。悪態をつけばつくだけ嫌われるのに、身を案じているのに意味がないんだから、バランスが取れていない。Twitterの責任者は早急にパッチを当ててください。


昔、プラスの出来事もマイナスも、どちらも露出しなければフェアじゃねえだろ、と、初めて女性と交際した時に、こんなものをもらった、とか、微笑ましく、面白いやり取りがありました、とかをその都度インターネットで報告していたのだけど、それが本当に気持ちが悪いという理由で振られたので、確かに「フェア」がどうこうとか心に架空のコミッショナーを飼っている時点で汗臭くて気持ちが悪いし、損しかない。幸せになることが第一義でなければならない、と気付き、女性と交際していても、それはそれで切り分けるようにした。この記事も、書こうか書くまいかちょっと躊躇した。露悪をやりたくなった、と言えばそれっぽいように聞こえるかもしれないが、どうでもよくなったっていうのが大きい。ゲボみたいな失恋なんか今更取っておいても価値なんかないしみんなもっとゲボな恋をやっているんだから、どうでもいい。


まつわる場所がたくさんありすぎるという障害を克服するのが難しい。彼女は関東に住んでおり、俺は大阪なので1,2ヶ月に1回ほど互いに往復をしていた。東も西もまつわっている。けれどもおそらくは自分しか覚えていないだろうから、2人でデートをしていたことになっている時間、仮に知り合いが殺されて、容疑者として取り調べられたとしても、彼女は一切当時の記憶を失っているのでアリバイがないから怖い。自分の脳でしか立証不可能の出来事が東西浦々に散らばっており、浅草花やしき、よこはまコスモワールド、江ノ島、新世界、梅田のプラザモータープールから新宿へ。全部妄想の産物でしかなくなってしまいました。課題は、克服です。


大江千里の『かっこ悪いふられ方』という曲で、「いろんな人を好きになり、おそらく僕は結婚する」と歌っている。納得しそうになるけれども、「おそらく僕は結婚する」と言い切れませんよ。ピアノがたまたま上手いからそれっぽく聞こえるだけ。飲んだくれてなんでもない銀縁メガネのジジイが「いろんなオンナに惚れたけどまあ、そのうち結婚するからよ」ってクダまいてても「うるせえよ」で片付けられておしまいだ。80年代の人間は騙されていたかもしれないが、2010年代の若者たる我々は、もっとヤニまみれのスーツを身にまとって戦場へ出ましょう。勝利を我が手に、女が洗い物をしている間に…
posted by しきぬ ふみょへ at 22:11| 文章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする