2017年04月29日

お金持ちになりたい

先日入った居酒屋でテレビを観ていると、『ジョブチューン』の大物司会者特集で小倉智昭、草野仁、徳光和夫、ヒロミ、恵俊彰など動物性脂肪の塊のような面子がひな壇に集められ"暴露トーク"に花を咲かせており、1本あたりのギャラがいくらいくら云々、スタジオ感嘆、茶々を入れるネプチューンやバナナマンといったお笑いの人たちも思う存分にお金持ち、と、楽しみ方の一切わからない映像を見せられテレビの置いてある側の左目だけを固く閉じてしまった。「テレビは"オワコン"」などと喚いている連中然り茂木健一郎然り、ひとつの媒体をまるごと括って断定的評価を下す人間はろくでもないしどうせ毎日頭を洗っていないような者共とも思うが、お金持ちが制作に携わっておりお金持ちがカメラの前で騒いでいる様を貴重な土曜日の夜に割いているのか、一体自分は何を観させられているのか、と途方に暮れてしまい、テレビが何も面白くなくなってしまった。もはやNHKのBSで明け方にやっている「マチュピチュの空撮」や「オトシブミのかしこい子育て」といったような、なるべく人為の関わっていないハイビジョン映像を好むようになった。高校を出るまでは毎日死ぬまでテレビしか観ていなかったのでトントンなのかもしれないが、実際に稼いだお金で生活をしなければならない立場になってから「お金持ちがお金たくさんもらっているね」と苦虫を噛み潰すようになるというのは辛い。よくJUNKやオールナイトといった深夜ラジオを聴いていたけれど、よくよく考えればCM差し引いても1時間40分もの間お金持ちが喋っているのだし、ハガキ職人のTwitterはつまらないのにフォロワー数だけ多いしチヤホヤされて羨ましいし増長するしでこれもまた苦虫案件だ。



本屋に行けばもちろんのこと目に留まる本の作者はお金持ちで、インターネットでフォロワー数何十万人超え、を謳う、ハードカバーの1ページ1ページにちんちんの先をなすりつけているかのような書籍が平積みにされている。インターネットで幅広にウケてお金が入ってくれば嬉しいぜ、というよこしまな怠け者根性もあったが、インターネットで幅広にウケてお金をもらっている人は金玉の腐ったような者しかおらず、流石にそこまで精神が落ちぶれたくないしそもそもウケないしでうっちゃってしまったが、お金はやはり欲しい。あればあるほどいいものと思う。



ブルーハーツもお金持ちだし、格好がいいので女の子にもモテただろう。そんな些細な理由で、大人になってからブルーハーツが聴けぬようになってしまうとは、「年下がうるさいよ」と感ずるようになってしまうとは。



--



彼女が、職場の60手前、「己はまだ通用するだろう」とギンガムチェックのシャツを着、べっ甲で縁の太いメガネを掛けた薄髭の、嫁も子どももある爺から誘われ、仕事終わりの晩食事に行く途中の帰り道に偶然出くわした。2人はよく会話を交わす仲で、業務中、給湯室で洗い物をする彼女と10分ばかり何やら話し込んでいる姿を見て働かんか爺と些か腹が立ってはいたのだけれども流石に飯はお前、おい、60で自分のこといけると勘違いしていいのは高田純次だけだぞ、ましてや私が交際している女性なのだ、と頭にきてしまい、晩の夜に彼女に問いただしてしまった。相手が60手前とはいえ、武田弘光のエロ漫画などの読み過ぎで地下鉄の窓に映っている己の佇まいが、私立高校の理事長に寝取られた彼女の、ハートの形の穴が空いた下着を履かせられてダブルピースをしている映像を見せられ呆然としながら勃起せざるを得ない冴えない眼鏡に思えられて居ても立ってもいられなくなった。


彼女には「いや、60やで???」と窘められ、翌日「かっとなり、すみません」と2時間電話で謝ったが、もし己に金銭的余裕があったならこのような失態も犯す恐れはないだろう。南海トラフも北朝鮮のミサイルもだいぶ怖いが、お金があれば頑丈な壁を築けるのでかなり大丈夫だ。一生懸命働いてお金を稼がなければ。何も後ろめたいところはない。「やるしかないから、やるしかない」と、駅のマイナビの広告でお金持ちの有吉弘行が腕を組んでいたのを思い出した。
posted by しきぬ ふみょへ at 22:09| 文章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月13日

やらせていただきました。

じゃないんだよ
一生懸命働け

脇目も振らずに一生懸命働け
posted by しきぬ ふみょへ at 23:47| 文章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月06日

バーチャルリアリティの略

DMM.comでVR動画を観た。新しい性デバイスに対して基本的に守りに入っていたのであるが、Amazonポイントを有効活用しタダ同然でかしこく専用ゴーグルを手に入れられたのと、大槻ひびきや蓮実クレアの最新作がどうしても気になってしまった。社会人だからクレジットカードを持っているので、なんの障害やためらいもなしに動画を購入できてしまう。



届いたゴーグルは眼鏡を着用したままでも上から装着できるかなりごつめのもので、ビジュアルは任天堂のファミコンロボットに近い。首振りに合わせて視界を動かし、手探りでしこるその様はあたかもファミコンロボットがコマを運んでいるが如くだ。それに加えて手元が見えないので、OB(Out of Bounds)があってはならないといつもよりも念を入れてティッシュペーパーを使いクッションを整える必要があり地球にも優しくない。然しながら、限りある資源や人生を犠牲にしても尚、「奥行きのある女性」はいかほどに素晴らしいか痛感した。「ケツ!」と思うて、あぐらをかきながら己の膝をピシっと打ってしまった。未来はここまで来たか。僕にとっては今この目の前のケツの流線型こそがリニアだ。



その感動のぶん、仕事を済ませた後の虚無も半端ではなく、ゴーグルを装着して下半身を露出している様はかなり終わりに近い。21世紀なんか来なければよかったのに。いったん冷静になった後でもう一度動画を観てみた。ソープで思い切り女の人に体を舐められている最中に、上を向いたらただの天井が目に映るのにウケてしまった。こんなに下品な言葉を耳元で囁かれながら全然お前のこと無視して天井観てるけどね、頑張ってね、と思いひとしきり笑い、ゴーグルを外し、布団にくるまった。SNSを一切やめているのにもう通信制限の通知が来た。4月の頭なのに。iPhoneが真っ赤に焼けただれていた。



--




大阪に来て4年目の春を迎えた。会社では相変わらず東からやってきた無能の若白髪としてやっている。いつまでも西に染まるまいと抗っている。無能なわりに順応しまいと意味もなく確固たる、捻じ曲げざる、ローキックの効かざる虚栄心のせいでイントネーションを上方に寄せまいとしている。だけれども、大阪はご飯も美味しく安くてお腹がいっぱいになるお店が多いのでそれ以上に考えるのも億劫になり、死ぬまでここでしこってうんちして鼻ほじって過ごそうかな、と順応に向けて脳・体が順応に向けてシフトしてきている。



3月の末にJA大阪が主催のリレーマラソン大会があった。うちの会社も例年参加している。大阪城公園周囲をぐるぐる、42.195kmを21人で分担して走る。1人あたり約2kmを受け持つことになる。一応若手たる区分でエントリーせざるを得ない僕は生来走るのが苦手で苦痛でしかなく、タバコをやり手マンをやり、テカテカに肥えた役員連中にも劣るタイムを叩き出す始末で、「仕事もできなければちょこっと2kmばかし走らせてもボンクラなんかい、ヘラヘラしくさってブスメガネ背むし直毛オタリーマン」というあからさまに鼻くそを見るような視線で眺められる仕打ちにここ数年耐えてきた。ヘラヘラしくさって、歯を食いしばっていたら終いなので去年までは袖を噛んでいればよかったのだけれども、部署に彼女ができ、持ち前の「嫉妬」が乗っかってきたのでなおのこと苦痛になった。



彼女の同期のロシア人のクオーター、元陸上部の183cm、地毛がそもそも明るめの茶髪の男が応援ブースの前を白虎のようなストライドで走り抜ける。彼女は「はやーい!!」と感嘆しながら沿道に駆け寄った。俺も足が速ければよかったのにな、と小学生以来に思った。大人になってから尚、肉体的アドバンテージをむざむざ見せつけられて落ち込むような機会は全然あるのだ。同じ給与体系である以上、カネで説得力を植え付ける事もできず、筋力の負けがイコール雄としての敗北と切実に結びついてしまう。



「嫉妬」でいうと、彼女はおじさんの扱いに如才なく、という事はつまりお気に召されてしまうわけで、髪を切って来ようものなら翌朝「自分…AKBみたいやな!!」とおじさんにちょっかいをかけられている。”今”の喩えとしてのAKBはとっくに古いんだよジジイ、と腐す気持ちもあれど、彼女が給湯室前にておじさんの心の中で尻を撫ぜられていることに焦燥し、ひょっとしてなびかれでもしようものならどうしようか、と本気で心配してしまう。客観的に見れば「心配すんなって」「滅入るな」「口笛を吹け」で済む話なのかもしれないが、いざ当事者となると気が気でない。ともあれ堂々と・我関せず・泰然自若で居なければいけない。理性で解っていても、脳幹が熱くなる。



フィジカル面・フィナンシャル面で勝るところなく、品行方正で浮気の心配なく実直で、日々の会話の充実(への努力)でしか自分を彼氏という立場に置かせられる説得力を持たせられないのに、欲に抗えずごついゴーグルを装着し天井を観ながら笑っている。最近は毎朝ヤクルトを飲んでいる。まず腸から美しくなろうとしている。
posted by しきぬ ふみょへ at 22:25| 文章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする